令和元年10月30日(水)に、八代高等学校・八代中学校でがん教育講演会を行いました。
予防医療のすすめ ~がんにならないために大切なこと~ との演題で以下の内容をお話しさせていただきました。
予防医療の大切さ
病気を治す事は医師にとって大事な仕事だが、病気にならないよう指導したり、症状が出る前に病気を見つけたり、病気がこれ以上ひどくならないようにしたりすることも同じくらい大事な仕事であり、これを予防医療という。病気によっては治っても、後遺症が残ってしまい今までと同じような生活が出来なくなったり、再発を繰り返してしまったりすることも少なくない。
予防医療の種類
1次予防
適切な生活習慣で健康な身体を維持したり、予防接種を受けたりすることで病気を未然に防ぐこと
2次予防
健康診断や人間ドック等で病気を早期発見し、早期治療に取り組むこと
3次予防
適切な治療を受け病気の増悪防止に努める事やリハビリテーションにより病気の再発や回復を図ること
日本を含めた高所得国では、医療の発達により感染症による死亡者数が少なくなり、世界一の長寿国となった日本では、現在死因の1位はがんとなっている。
がんは細胞分裂の際のコピーミスで起こる。人間の体は60兆個の細胞で出来ているといわれているが、毎日そのうちの1%が死んでしまうため、毎日数千億回の細胞分裂(コピー)が行われる。タバコ・食物中の発がん性物質・放射線等の影響でコピーミスが起こりやすくなる。コピーミスを起こした細胞は一般的には長く生きる事が出来ないが、一部の細胞は死なない細胞に変化してしまい、止めどもなく細胞分裂を繰り返してしまうようになる。これをがん細胞という。がん細胞は健康な人でも多数(学説によると5000個も)出来てしまうが、基本全て免疫細胞が退治してしまう。しかし時折退治出来ない事があり、これが塊としてのがんとなってしまう。
がんを起こす要因については半分以上分からないままだが、タバコと感染症(ヘリコバクターピロリ・肝炎ウイルス・ヒトパピローマウイルス)がリスクとして高い事が分かっている。特にタバコは無くなると男性のがんの3分の1が無くなるといわれ、予防医療において禁煙はとても有効な手段であるが、ニコチン依存症のため喫煙者が禁煙する事は困難である。そのため若いうちからタバコを吸わないようにタバコの害について教育する事がとても大事である。またタバコを吸わない人でも、タバコの煙を吸うこと(受動喫煙)でがんになるリスクがとても高くなることが分かっており、受動喫煙対策が重要視されている。
がんにならないため、食事で気を付ける事
塩分摂取量は極力控えめに
野菜・果物は毎日食べる
ハム・ソーセージ等の加工肉は控える
熱い飲食物は冷ましてから摂取する
食品添加物はなるべく摂取しない
中高生の皆さんに是非行ってもらいたいこと
1.絶対に喫煙しないこと(出来ればタバコの煙も吸わないこと)
2.発がん性物質は極力避けること(特に食品添加物に注意)
3.睡眠時間をしっかりとること
4.可能であればウイルス検査を受けておくこと
(B型・C型肝炎、ヘリコバクターピロリ)
さいごに
がんは現在完全には予防する事が出来ないが、毎日の生活習慣に気を付ける事で、がんになるリスクを少なくすることが出来る
たとえがんになってしまっても、早期に発見出来れば治ることが多くなってきている
タバコはがんになりやすくなるだけでなく、色々な病気の元となり、また周囲にも悪影響を及ぼすため、絶対吸わないこと
当日はパワーポイントの調子が悪く、スライドがうまく動かずテンポの悪い講演となってしまいました。(泣)
中学・高校生はとりあえず若いため、遺伝子の傷も少なく無茶が効くのでがんにはなりにくいです。そのためがんと聞いてもあまりピンとこなかったかもしれません。身体はよく車に例えられることが多いのですが、大事に扱えば長く乗り続ける事が出来ますが、無茶な運転をするとすぐにあちこちに故障が出てきてしまいます。若いうちから少しでも生活習慣に気を使っていくと、がんになるリスクを確実に低くすることができます。特にタバコは絶対吸わないように!!
大人でも以下の生活習慣を実践する事でがんのリスクを低くすることが出来ますよ!